「人の世は重い荷物を背負って生きていくようなもの
照る日くもる日いろいろさ、これが人生、それが人生」やなせたかし
これは、私が15才の時(何年前かはおいておくとして・・・)
誕生日に母親がプレゼントしてくれた、タイル製の小さなタテに書いてあった
やなせたかし氏の詩です。玉乗りするピエロが描かれています
このタテと私は常に一緒で、一緒に嫁入りしました。
手にしたその時は、人生訓には捉えていませんでしたが、目に付く所
にあっていつも眺めて年月を重ねるごとに言葉の重みを感じておりました。
先日、やなせたかし氏が亡くなられたニュースを耳にして、感慨深いものが
ありました。≪ところがなんてトンチンカンなのか・・・先日、片づけものをした時、
何処かにしまい込んじゃいました・・・探さなくちゃ・・・です≫
やなせ氏は沢山の肩書きを持っていた方ですが、何といっても漫画家としての
通りが一番良く、3才以上に認知されていた只一人の著名人だったかもしれません。
私がタテを手にした時代のやなせ氏は、まだ世の中にこれほどアンパンマンが
支持される前の不遇の時代だったようです。
どんなにゲームが大好きなお子さんでも、アンパンマンを知らない子はいない
でしょう。当初アンパンマンは、“顔を食べさせるなんて野蛮だ!”と言う大人の
非難の声もあったと聞きます。しかし、子供たちにとってはまぎれもなくヒーロー
でした。
常に弱いモノを助け、身を呈して悪モノと戦い、かといって悪も決して倒さず、
最後は仲良く・・・、子供たちから絶対的な信頼を確立した世界一弱い、そして
かっこいいヒーローだったようです。
後で知ったことですが、やなせ氏はこのマンガの中に、「世の中の皆が平和に
なる為には、自らの犠牲が伴うものなんだ!」というメッセージを送っていたのだ
そうです。長く世の中を見てきた人にしかこの言葉の説得力はないでしょう。
以前、富良野のアンパンマンショップで見た絵コンテに、アンパンマンがマント
をひるがえし、暁の空に向かって飛んでいく場面があり、あまりにも印象的で、
後々までその絵が脳裏に焼き付いていました。
遅咲きの漫画家は、多分あのような姿で旅立たれたのでしょうか・・・
全てのメッセージに感謝し、ありがとうの言葉を捧げます。
店舗 ひらこ
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